産地を着る / 26FW PRODUCT
服を作るなかで考えることがある
私にとっての魅力的な服とはなになのか。

私は服を作りながら自分をシェフのように感じる
食材は生地や糸、どのように料理=仕立てるのか
アイデアや技術を通して、ひとつのものへと向かう
高級な食材(素材)を使えばいいってものでもなく
着る楽しさやデザインが持つ力があり、そして
人となりを感じれるものを作りたいと私は思う。

デザインやアイデアは
見たこと触れたもの、感じた気持ち
自分自身の経験をもとに生まれていくなかで、
生地や糸そのものに、人となりを感じるために
私はよく産地に訪れて、そこで働く職人さんに会い
今までのこと、現状のあり方、素晴らしい技術を体で学ぶ。
そこにはドラマがあって、積み重ねてきた時間が流れる。
今回話したい、このコーデュロイも、時間が流れていた。

去年の冬のこと
訪れたのは、日本で唯一のコーデュロイ産地である「遠州」
静岡県に車で向かった 一件の機屋 (織物工場) さんへと向かった。
私たちにとって、身近で親しみのあるコーデュロイの生地には
こんなにも様々な工程を通して、ひとつの生地になっていることに驚きました。
糸を整経して、織りあがった生地の仕上げのなかに遠州独自の工程がありました。


【仕上げ工程の順番】
1.織り上がり
2.カッチング
3.水洗い(揉み込み洗い)
4.毛焼き
5.染め上がり

なぜ、遠州のコーデュロイには他にはない、ぷっくりとした畝が生まれるのか。
なぜ、こんなにも手触りが良いのか。
そう尋ねると、仕上げ工程のなかにある「水洗い」が
大きく関係していることを教えていただきました。
遠州産地を貫く一級河川、天竜川。
豊かな水資源に恵まれたこの土地では、コーデュロイを仕上げる工程として
水洗いが当たり前のように行われています。
生地を揉み込みながら水洗いすることで、
コーデュロイの畝がふっくらと立ち上がり、独特の柔らかな手触りが生まれる。
海外で作られるコーデュロイでは、この水洗いの工程が行われないようで、
それが表情や風合いの違いにつながっているそうです。
工場内を見学させていただくなかで、
もうひとつ、強く印象に残っている光景がある。
事務所の入り口前に、ずらりと並べられた資料。
1964年の創業から現在まで、コーデュロイと向き合ってきた紙の記録。
そこには、糸の太さや織りの詳細が、ひとつひとつ手書きで残されていました。
好きだから。と、生きていく。
まだ見ぬ生地に出会うために、試して、考えてきた足跡に重みを感じました。

コーデュロイの仕上げ工程は専門とした各工場さんにバトンを繋いで、
また繋いで、ひとつの生地が作られていた。
カッチング工場はカッチングだけを得意としており
毛焼き工場は毛焼きを専門として工場営んでいることを知りました。
水洗いを担う工場は、国内で残り一社のみという現状であること。
国内生産量が減り続けているなかでの原材料の高騰や後継者不足と
この品質を織り続けていくことが簡単ではない現状も目の当たりした。

私ひとりでは産地を守ることはできないですが、生地を使わせていただいて、
ひとりでもふたりでも、私が感じた遠州コーデュロイの魅力は共有できると思う。
2026年秋冬コレクションでは、このコーデュロイを使用してふたつの服をデザインしました。
生地:静岡
縫製:岐阜
主に、ふたつの県で生まれたショウタヒヤマの服です。


服を着ることは、その土地で生まれたものを身につけることでもある。
生地の向こう側にも、そこに暮らす人がいて、技術があって、積み重ねてきた物語がある。
私は「産地を着る」ということも大切にしたい。
このような服を、魅力的な服のひとつだと思う。
今回作れたことが嬉しく、誰かが共感してくれたら、また嬉しい。
ぜひ、着ていただきたいものがここに。
Now available at our stockists.
Cotton 100% made in Japan.

Have a beautiful day!:)
Shota Hiyama
end.
