現在地(上)

ブランドを始めて、1年が過ぎた。

ニューヨークでのデビューコレクション。仲間のミュージシャンたちとの映像制作や展示会。予想外のこともたくさん起こる。外側に映し出される嬉しいことの方が少ないのが現実だろう。内側にあるのは自分への悔しさと少しずつ近寄り続ける不安感に焦りが生まれる。
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焦りからなのか。この365日、1日のなかで1秒1分1時間でも服づくりの時間を過ごさなければ、いてもたっても居られない状態になっていた。

頭には直ぐに結果が出ないと言い聞かせても、心には届いていなかった。

アトリエで服を作ってる時が喜びを感じられる。ミシンを踏み、出来上がる服が様々なことを忘れさせてくれる。

何かを忘れるために、おれが好きになった服を作ることは違うと頭の片隅で思いつつ、少しずつ積み重なっていく埃はいつしか大きな塊になることを感じていた。
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だから、少しの間、旅に出ることを決めた。誕生日という魔法を自分にかけて、バックパックに荷物を詰め込んで、空港に向かった。今の環境から距離を置いて、何を思うのかを確かめたかった。

旅を終えて、いま帰りの飛行機に乗りながら、溢れ出る言葉を綴る。行って良かった。と心の底から思えた。分かっているはずのことなのに、いつしか薄れていってたことがあることに気づかされた。また、思ったことを拾い集めた。
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良い時、悪い時がある。その中で、家族や仲間、出会う人々と喜びも悲しさも共有できて、笑い合えるように生きていきたい。きっと人生は豊かに進んでいくだろう。

小さなことも大きなことも受け入れる。すべてのことを受け入れることは難しい。だけど受け入れようと思うことが大切だと思う。

そうさ、流れに身を任せて。

たくさんの人がいる、この世界。人の数の物語があり、時に人と人は出会い重なる物語。今日もどこかは晴れてて、どこかは雨が降る。まるで心を表すかのように。

空が綺麗だね。今日もご飯が美味しい。

ハローとアリガトウの言葉から、はじまる。人が優しさや愛を教えてくれたように、また自分も誰かに優しさや愛を与えられるようになりたい。

そんなことを思いながら、移動の途中にふと見た言葉は「ONE WORLD MANY STORIES ( ひとつの世界にたくさんの物語 ) 」だった。心にぐっとくるものがあった。

また今回の旅を通して、私自身がこんなにも服が好きになるきっかけの感動を再び感じることが出来ました。

現在地(下)へとつづく…

Shota Hiyama

end.
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